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短篇は若い芸術だ――ボウエン
20世紀英国文壇を代表するアングロ・アイリッシュの作家。
幻想的な短篇の名手、その秘密に迫る。
アイルランド、戦争、ジェンダー、超自然、幻想など、12人の論者がボウエンを多面的に浮き彫りにする意欲的試み。ボウエン自身による優れた短篇論3本を併録。
チェーホフやモーパッサン、D・H・ロレンスなどを評価し、リアリズムよりもファンタジーや超自然に触れる短篇約100篇を残したボウエン。短篇が小説の試作であることはおよそなく、彼女にとっては自分の世界を、もっともストレートに表現できる手段であった。20世紀初頭に英国で、映画と並んで新しい「芸術ジャンル」として勃興した短篇が、みずからの創作とシンクロし、そのまま生涯書き続けたボウエンの創作の秘密を解き明かす。
【目次】
序論 短篇の興隆と短篇作家としてのエリザベス・ボウエン………太田良子
〈第一部 作家・作品論〉
・新しきセンセイション小説〓〓短篇「針箱」を読む………窪田憲子
・チョコレートと芸術と消化不良〓〓短篇「ミセス・モイシー」の〈食〉の表象から探る、ボウエンとモダニズムの関係………松井かや
・ボウエンが生み出した〈完璧〉なガヴァネス〓〓短篇「割引き品」におけるお金・ガヴァネス・『エマ』………杉本久美子
・『フェイバー版現代短篇集』をめぐって〓〓ボウエンとT・S・エリオット………松本真治
〈第二部 アイルランド問題を中心に〉
・アイルランドの語り方〓〓短篇「手と手袋」から『愛の世界』へ………北 文美子
・短篇「幸せな秋の野原」にみるアイルランドの表象とボウエンの技法………米山優子
・イギリス、アイルランド、アングロ・アイリッシュの表象をめぐる問題〓〓短篇「奥の客間」と「彼女の大盤振舞い」における心霊主義………小室龍之介
〈第三部 少女の問題、女の問題〉
・少女の世界とその時空間〓〓短篇「ジャングル」を読む………伊藤 節
・ボウエン的主題と手法のつまった短篇「闇の中の一日」〓〓場所・記憶・少女を中心に読み解く………甘濃夏実
・短篇「よりどころ」の「不気味なもの」〓〓亡霊が女の孤独のよりどころ………清水純子
〈第四部 戦争を背景に〉
・死の過去から生の未来へ〓〓短篇「恋人は悪魔」「幸せな秋の野原」「幻のコー」における幻想表現………丹治美那子
・七歳まで字が読めなかった〓〓短篇「幻のコー」vsロンドン大空襲………太田良子
〈第五部 ボウエンによる短篇論(翻訳)〉
・短篇小説(『フェイバー版現代短篇集』序文)………エリザベス・ボウエン 小室龍之介訳
・イングランドの短篇作品………エリザベス・ボウエン 米山優子訳
・『アン・リーの店』序文………エリザベス・ボウエン 米山優子訳
あとがき/索引
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