本書はマイクロ波ワイヤレス給電を用いた飛翔体への応用の入門書として、マイクロ波ワイヤレス給電の基本事項から、送信回路・送受電アンテナ・整流回路の設計を解説し、飛翔体への給電事例を紹介する。
ここ10 年ほどの間にワイヤレス給電という言葉が世間一般に広く認知されるようになった。特にドローンの登場がこの分野に新たな次元をもたらし、マイクロ波給電との組み合わせは、これまで以上に注目を浴びていると認識している。
一方でワイヤレス給電という分野をネイティブとした研究者の絶対数はそれほど多くないため、入門・解説書から得られる情報は限られ、先行する学術論文や関連する学位論文から断片的に仕入
れるなど、著者らも経験したが色々と不便である。
また、著者らが本書で紹介するような研究を発表して以降、日本のみならず海外も含めて、企業や研究者から興味はあるがどのように始めるべきなのか、そもそもマイクロ波ワイヤレス給電とは何かという質問が多く寄せられた。
本書はその点に注目し、マイクロ波ワイヤレス給電を飛翔体に応用するための必要な理論だけでなく、実践の観点からも将来性と実現性を含め、これらの質問に答える形で解説している。これらは大学4 年生の卒業研究や、異なる分野の人も含めて、これから企業で取り組まれる方など初心者が初めて行う際に極めて必要な知識であり、本書はこのために書かれたものであると考えて良い。
また本書の第7章では、マイクロ波ワイヤレス給電の限界を突破するために周波数と電力の観点でcutting
edge の技術を記述しており、現在第一線で活躍しているベテランの研究者にとっても十分に有用なものであると思われる。
本書では、初学者がマイクロ波ワイヤレス給電方式を用いて全体システムを設計出来るように構成されている。
まずマイクロ波ワイヤレス給電の歴史と最近の研究動向、及び社会的動向に関して述べる(第1章)。
続いてワイヤレス給電を用いるにあたり知っておくと便利な基本事項に関して概説する(第2章)。
次に伝送システムにおけるマイクロ波電源の設計(第3章)、送受電アンテナに関する設計(第4章)、アンテナとアプリケーションの接続回路である整流回路の設計(第5章)、実用上必要となる追尾技術及び飛翔体へのシステム設計事例(第6章)、最後に未来のワイヤレス給電に関する展望(第7章) という流れで展開していく。
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