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◆第一句集
父母恋ふに百日紅の戦後あり
この句集のテーマは、百日紅に象徴される終戦と戦後の日々にある。同時に父と子の家族の風景、百日紅を描く自然詠など、日常へそそぐ濃やかな眼差しがある。
(跋より・井上康明)
◆自選十句
囀りの奥へ奥へと畑を打つ
山風に甘え心の辛夷の芽
身の内の糸のほぐるる春の波
百日紅子が小走りに父のあと
藪枯しもうその先に道見えず
父と子の話してゐたる夜の秋
瀬の音を離さぬ山廬秋初め
藍甕に藍のしづまる良夜かな
思惟佛のおん眉桜紅葉かな
鹿の瞳の近づいて来る冬の草
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