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〈老いゆくなかで私たちは純粋時間の無世界的な内的感覚となる。老いゆく者として私たちは自分の身体からよそよそしくなり、それと同時に身体の不活発な塊に以前よりも近くなる。私たちが人生の頂点を踏み越えると、自己を構想することが社会によって禁じられ、文化は私たちにはもう理解できない重荷の文化となって、むしろ私たちが精神の屑鉄として時代の廃棄物の山にふさわしいと知らされもする。老いるなかで私たちは、ついには死につつ生きなくてはならない。けしからぬ期待を抱き、卑下のためではなく自尊心を傷つけられつつ比類ない屈辱をこうむりながら。〉
『罪と罰の彼岸』で知られ、ホロコースト体験者、レジスタンスで捕まった後さまざまな拷問も経験した著者が50代半ばに、本書は書かれた。時間の観念や他者の視線、社会とのかかわり方の変化、孤独感、死に向かうプロセスのようなものが、プルーストはじめ数々の文学作品ともども描かれる。
反乱と諦念を基調に、多くの「老い」の本とは一線を画す思索的・哲学的エッセイ。本書執筆から10年後に著者は自死した。
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