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〈「昭和」は完璧な元号だった〉
「大正」は過去にベトナムで使用済みの「不調べ」の元号だった。明治天皇后には誤った追号が贈られてしまっていた……。歴史の重みを失った近代日本の綻びを正すため、鴎外が最後に挑んだのは元号制度の整備だった。それまで使われたことがなく、由緒正しい漢字を重ねた完璧な元号「昭和」は如何にして生まれたのか? 「令和」改元の深層に迫った政治記者が、膨大な公文書の中に隠された晩年の暗闘に初めて光を当てる!
◎軍医トップに登り詰めたキャリア官僚として「早出晩退」で事務処理能力を発揮
◎本業に差し障る文筆活動が黙認された背景に元老・山県有朋の後ろ盾があった
◎牧野伸顕宮内大臣の大規模リストラと対決
〈不可解な「遺書のナゾ」
「宮内省陸軍の栄典は絶対に取りやめを請ふ」
⇒軍医総監に上り詰めたのになぜ?
「余は石見人森林太郎として死せんと欲す」
⇒故郷・津和野に愛着は無かったはずなのになぜ?
〈目次〉
はじめに
第一章 『普請中』の近代日本
一、混迷の「大正」改元
二、昭憲皇太后はなぜ誤りなのか
三、宮内省VS. 内務省
四、『帝諡考』から『元号考』へ
五、漢学官僚の系譜
第二章 宮内官僚 森鴎外
一、山県有朋の人脈
二、四つの歴史編纂事業
三、官制改革の影
四、大衆化する皇室
五、未完の歴史叙述
第三章 官憲威力の容喙
一、着手しなかった事業
二、伊東巳代治総裁との確執
三、山県支配の崩壊
四、近代国家の「虚」を見つめる
五、遺言の謎
終 章 遺された思い
一、鴎外なき「昭和」改元
二、「石見人として死せんと欲す」
あとがき
主要参考文献一覧
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