実践知を紡ぎ出す 養護教諭の事例検討ハンドブック

実践知を紡ぎ出す 養護教諭の事例検討ハンドブック

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出版社
ぶんしん出版
著者名
亀崎路子
価格
1,980円(本体1,800円+税)
発行年月
2024年11月
判型
A5
ISBN
9784893902160

(はじめにより)
 時代や社会が変化するなかで、養護教諭は、保健室でこれまでとは違った子どもの様子に気づいたり、対応したことがないような問題を抱えた子どもに出会うことがあると思います。目の前の子どもをどのように捉えて、どのように対応したら良いのか、戸惑ったり、養護教諭としての専門性に悩み、アイデンティティが揺らいでしまうこともあるかもしれません。しかし、養護教諭が困っていることのなかに、子どもの本質的な問題が潜んでいると思われます。むしろ、養護教諭の困りごとは、問題の解決や子どもの成長につながる宝の山であると思います。そのようなときに、仲間や先輩、恩師などと事例を検討し、子どもへの支援について話し合い、事例を通して学ぶことは価値あることと言えましょう。
 養護教諭の事例検討は、1960 年代に、子どものヘルスニーズの変化に伴い、保健室における健康相談の仕事が増していき、以後、多くの養護教諭が子どもに対応した事例を持ち寄って検討したり、養護教諭の実践の根拠となる理論を生みだす場として広まりました。そのなかのおひとり、森田光子氏は、地方に養護教諭のための事例検討の種を蒔き、2021 年10 月20 日に逝去されるまで、各地で行われる事例検討会に参加し続けて養護教諭を支援してこられました。養護教諭にとって、「事例は日ごとに新しい課題を私たちに提供します。」「事例を通して学ぶ、事例検討から学ぶことは、仕事を継続する限り半ば義務ではないかと考えています。」という森田光子氏の言葉が私たちの心に残り、背中を押してくれます。特に、事例検討で必ず話し合われる養護教諭の「見立て」は、森田光子氏が論じてきたことです。この「見立て」という言葉を最初に提唱した精神科医の土居健郎氏は、見立ての良い医者になるためには、外科医は剖検、精神科医は症例検討をして、自分の診断が正しかったか、治療は適切だったかを検証することにつきると言いました。学校では、教諭は研究授業を行います。では、養護教諭はどうでしょうか。養護教諭は、自らの実践を振り返る事例検討や実践研究を行うことと言えます。
 事例検討は敷居が高いというイメージがあるかもしれませんが、実際に、事例検討に参加をしてみて、子どものことや具体的な対応が浮き彫りになり、自身のあり方も見えてきて、事例検討から学ぶことの意義、魅力や奥深さ、心地よさ、力が湧いてくる感覚を知ってもらえることを期待します。身近な地域で始めてみようと思うきっかけになれば、なお幸いです。そして、事例検討が養護教諭の実践知を紡ぎ出す場に育っていくことを願います。関心のある養護教諭の方々を事例検討へとお誘いしたく、皆様のもとに、このハンドブックをお届けいたします。

ほか編著:
秋山 緑/ 河野 千枝/ 古谷 明子
ほか執筆者:
笹原 和子/ 斎藤 裕子/ 大木 静子/ 出原 嘉代子
小佐野登美子/ 小澤 洋美/ 角田 智恵美/ 竹俣 由美子
谷本 明美/ 山本 力/ 山中 寿江/ 大谷 尚子(目次順)

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