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近代中国には青幇・紅幇と呼ばれる秘密結社が存在した。戦時中,日本軍が上海を統治する際,協力を得ようとしたのもこの秘密結社であった。本書はこれまで十分研究されてこなかった中国の秘密結社と演劇の関係を初めて解明した先駆的業績である。果たして秘密結社とはどのように誕生し,演劇とどのように結び付いたのか。
上篇では,青幇と演劇の関係を論じる。華北・華中の青幇は,大運河を使い南方の米を北京に運んだ糧米船の水手を起源とする。著者は,日本の興亜院調査班として上海で青幇の調査に従事した増谷達之輔の報告を,その基礎資料と合わせて綿密に精査して,劇場経営の賭けごと的要素と上海租界の治安維持という問題が青幇と演劇人を結び付けたことを解明する。
下篇では,華南の紅幇と劇界の関係を,現地調査に基づき分析する。洪門や天地会とも呼ばれる紅幇は,広東の珠江デルタの水路を,赤く塗った大型舟艇で移動しながら反清活動を行ったことに由来する。長い間謎に包まれてきたシンガポール社公廟に祀られた人物像の解明,香港の廟にみる装飾の発見,戯船である紅船の復元図,粤劇の演目など複数の要素を手がかりに,演劇との関係を追究する。中国の秘密結社は,劇場や遊郭を経営した日本の任侠集団とも類似するが,権力の転覆を狙い徹底的に弾圧を受けた点に決定的な特徴があった。
さらに潮州語の歌集『呉忠恕全歌』の梗概と原文を付す。
演劇を巡る社会構造のみならず,当時の壮絶な人生を伝えて余りある,陰の中国近現代史としても魅力的作品。
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