山谷をめぐる旅

山谷をめぐる旅

1~2日で出荷、新刊の場合、発売日以降のお届けになります

出版社
新評論
著者名
織田忍
価格
2,640円(本体2,400円+税)
発行年月
2024年11月
判型
四六判
ISBN
9784794812766

東京に残るリカバリー空間
その歴史といまを静かに熱く描くノンフィクション
日雇い労働者の街「山谷」。訪問看護師として働きながらこの街の「生と死」を見つめつづけてきた著者による同時代の記録。移り変わる街の歴史とありのままの現在、人々の闘いと願いが鮮やかに描かれる。写真約120点収録。

大阪・釜ヶ崎、横浜・寿町と並び、「日本の三大寄せ場」の一つであった「山谷」。住所表示で言えば、東京都台東区清川・日本堤・橋場と荒川区南千住にまたがるエリアを指すが、現在、「山谷」という町名は地図を探しても見当たらない。江戸時代からあった古い町名は、1962年に施行された住所表示法によって改正され、先の東京オリンピック直後、1966年に「山谷」の名は消えた。
かつて山谷には、全国から仕事を求める日雇い労働者が集まり、ドヤ(簡易宿所)街が形成された。建設業を中心に、日本経済を支えてきたわけである。同時に、世間からの差別や偏見が渦巻くこの街では、労働者による暴動が頻発した。言い換えるなら、圧倒的なフラストレーションの発散場でもあった。しかし、そんな熱い時代は終焉を迎え、現在、はっきりと過去のものになりつつある。
ドヤは一気にマンションへと建て替えられ、ここ数年で風景が一変した。街は浄化され、「労働」から「福祉」の街となり、かつての活気は失われている。しかし、山谷という磁場は、現在も弱き者たちを引き寄せる。江戸の近郊エリアとして変遷と隆盛を繰り返し、その土地柄ゆえ、長きにわたり人々のセーフティーネットとしての機能を担ってきたからである。
本書では、歴史を辿りながら「山谷」という土地の宿命をふまえ、この街が舞台となった映画と二人の監督の死、男たちの街で呻吟した女性写真家、山谷で看取りを行う人びと、野宿者支援から仕事おこしに努める企業組合、山谷とともにある光照院住職の活動、そしてケアを担う人たちなどを取材。生きづらさや孤独感でつながるこの街で、訪問看護師として働く自身の「実録・山谷」であり、街をめぐる物語である。(おだ・しのぶ)

お気に入りカテゴリ

よく利用するジャンルを設定できます。

≫ 設定

カテゴリ

「+」ボタンからジャンル(検索条件)を絞って検索してください。
表示の並び替えができます。

page top