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バブルの崩壊以後、日本経済は「失われた30年」と呼ばれる長期停滞を余儀なくされた。この間、政府・日銀は「デフレ脱却」を旗印に、「異次元」なまでの金融緩和政策を展開したが、結局、期待された効果は上げられずに終わった。著者によれば、長期停滞の真の原因は、わが国のデフレ体質や金融緩和の不徹底にあったのではなく、中国の台頭による国際競争力低下と輸入デフレ、人口減少がもたらす需要不足と潜在成長率の低下、そしてデジタル革命への乗り遅れにこそあった。つまり「わが国は、停滞の原因究明も、政策課題の設定も間違えたのである」。
異次元緩和から始まった円安は、今や国民の資本逃避につながってきた。消費者物価は上昇したが、それに見合う金利が形成されていないため、家計は定期性預金を取り崩して対外証券投資を含む投信に走っているのだ。こうして資本逃避を招き、金利の引き上げや巨額の介入という「円防衛」を強いられる事態を、著者は「亡国の兆し」として警鐘を鳴らす。
本書は、時事通信社の専門誌「金融財政ビジネス」の好評連載を加筆・再構成して書籍化された。30年にわたる停滞の原因・背景には何があったのか、「デフレ脱却」という目標は果たして正しい政策課題だったのか。理論と実務を熟知する著者が、さまざまな統計データを駆使し、圧倒的な分析で日本経済の実相に迫っていく。
〈序章〉より抜粋
日本経済の停滞は克服されたのだろうか。それが私の問題意識だ。それを検証するために、私は「失われた30年」と言われる過去の再構築を試みた。失われた30年については、すでに多くの分析がなされ、たくさんの本が出版されている。しかしそれらによっては伝えきれていないあるいは軽視されている事実がある。事実の確認や事実に対する評価が曖昧なままのことも少なくない。現在起きていることの大部分は、過去からつながっている。私は、現在進行中の出来事、特に経済金融面での出来事を過去とのつながりの中で再検証したいと思ったのだ。2024年夏の株価暴落はその思いを強くした。
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