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本書「はじめに」より
1989年1月7日、64年続いた最も長い元号「昭和」は天皇の崩御で終わりを告げ、翌1月8日から「平成」が始まりました。
以来、2019年4月30日まで、30年余り「平成」が続きました。「平成」は歴代の元号の中で「昭和」、「明治」、室町時代の「応永」に続く4番目の長さで、明治以降の「一天皇一元号制」では3番目の長さです。
国内では狂乱の「バブル経済」の崩壊により、「失われた30年」とも言われる長い不況が訪れました。また、平成7(1995)年の「阪神・淡路大震災」と「地下鉄サリン事件」、23(2011)年の「東日本大震災」など、今もその傷痕を残す大事件や大災害が起きました。
前著『明治・大正・昭和・平成 芸能文化史事典』では、明治維新後の150年間における芸能を幅広く取り上げましたが、本書は平成の約30年間の「演劇界」の動きに特化し、俳優・作家・作品・劇場・出来事などを横断的に眺め、読み、調べられる「事典」に仕上げました。
平成期は、昭和期の演劇界で活躍し、牽引してきた方々の多くが亡くなりましたが、一方で「令和」の現在も活躍を続ける人々が、新しい胎動を見せた「世代交替」の時期にもあたります。歴史上では一世代を約30年と考えることが多く、「平成」はまさに一世代に相当する期間です。
「演劇界」は、明治、大正、昭和、平成と、常に時代や観客の嗜好に影響されながらも、模索を繰り返し、存続してきました。新しい世代も次々と確実に台頭しています。
平成期に起きた演劇界での出来事の評価も、ほぼ確定してよい時期が来たのではないかと考え、本書『平成演劇史事典』を執筆することにしました。対象範囲を広げたために、「演劇」に特化しながらも、前著と同じぐらいのボリュームになってしまいました。
年ごとに、どのようなことが起こり、どのように演劇が変容を遂げていったのかを時系列でまとめましたが、どこから読んでいただいてもいいように、項目の長さにも配慮し、なるべく多くの舞台写真を使用することにしました。これからの時代を担う世代の方々に、平成期の演劇の記録として遺す一方、以前の演劇界を懐かしみ、想いを馳せていただくこともできればと考えています。
前著と併せて、過去の事象から次の時代への新しいヒントを見つけていただければ、著者としてこれ以上の喜びはありません。
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