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本書は1998年版の発刊以来、今回の2024年版で9回目の改訂になります。全編にわたり詳細に見直されていますが、ここでは主要な6つの改訂点をご紹介します。
1)炎症・喘息の分類が統一されています:
これまでは、アトピー型・非アトピー型、好酸球性・好中球性など、さまざまな呼称・分類が用いられてきましたが、世界的な分類に基づいて、2型サイトカインが病態の形成に深く関与する好酸球性喘息を含む病型の喘息を「2型(Type2)喘息」、2型サイトカインの関与が乏しいと考えられる喘息は「Type2 low喘息」と整理されました。
2)新規に「臨床的寛解(Clinical remission)」が解説されています:
「治癒」は疾患が消失した状態であるのに対して、「寛解」は症状や増悪がなく、呼吸機能が正常化または最適化され、高いレベルの疾患コントロールが達成された状態と考えられています。今回の改訂で新規に臨床的寛解が解説され、定義と指標されています。
3)病態生理「気道炎症の機序」に最新の知見が加えられています:
「気道炎症の機序」における気道内腔に好酸球とともに「特異顆粒・DNA放出、粘液栓に関与」が追記され、好酸球の一部が気道内腔にも達してエフェクター機能を発揮するなど好酸球性気道炎症の形成に関して最新の知見を加えて詳述されました。
4)新規に「Treatable traitsアプローチ」が解説されています:
患者さんの症状や喘息の重症度に応じて治療内容を段階的に増減させるStepwiseアプローチが広く用いられていますが、個々の患者さんの状態や必要性に十分に適応しない場合などが考えられます。この手法に対して、個々の患者さんの症状や気道炎症のタイプなどに応じて個別化された治療を目指す「Treatable traitsアプローチ」が新しい概念として提唱されており、解説されています。今後は、このアプローチによる治療の組み合わせや効果の研究が必要であるものの、将来の喘息治療の重要な一環となる可能性があります。
5)難治性喘息に対応するための生物学的製剤のフローチャートが改訂されています:
専門施設において「治療ステップ4」の治療を行ってもコントロール不良の難治性喘息であることが確認されれば生物学的製剤による治療の追加が検討されることになります。2型炎症が主体の喘息(Type2喘息)は生物学的製剤のよい適応です。開始時の生物学的製剤の選択にあたっては、患者さんのQoLあるいは併存疾患の喘息に対する治療効果への影響などを十分に検討し、それぞれの生物学的製剤の特徴や社会経済的な背景から総合的に判断することになります。今回の改訂では、Type2喘息やType2 low喘息に対する生物学的製剤のフローチャートが改訂されました。
6)新規に「Clinical Question(CQ)」が策定されています:
成人喘息の長期管理に関する重要な臨床課題CQ6項目が設定されました。
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