AIにはない「思考力」の身につけ方

ちくまQブックス

AIにはない「思考力」の身につけ方

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出版社
筑摩書房
著者名
今井むつみ
価格
1,320円(本体1,200円+税)
発行年月
2024年11月
判型
四六判
ISBN
9784480251558

学校で急速に広がる生成AIの使用。

なぜ“ChatGPTにおまかせ”ではダメなのか? 

カギは、人間がことばの学習で身につける「推論の力」が失われることにあった。

すべての教育関係者・保護者必読の一冊。



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「思考力」というと、なんだか難しいことのように感じられるかもしれない。しかし、私たちは今この瞬間に文章を読みながら、思考力を駆使している。そしてその時に頭の中で働いているのは、「推論の力」だ。この力は人間だけにあり、AIにはないものだ。その違いと謎を解き明かしていく。

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 例えば「探偵マンガ」を読んでいるとき、みなさんは、

「黒幕は誰だれだろう?」

「犯人はやはり……」

と考えながらストーリーを追っているはずです。これも思考の働きのひとつです。

 思考しながら、主人公と一緒に「問題を解決しよう(=犯人を見つけよう)」としているのです。

 思考力というのはこのように、問題解決の力につながっていきます。問題解決の力をつけることができれば、社会がどんなに変わっても、未来がどうなるかわからなくても、なんとかその場で対応することができるようになるはずです。(……)

 では、思考力を使って問題解決ができる「名探偵」になるために、私たちは何を学べばいいのでしょうか。(……)

 正解は、国語です。

「なぜ国語?」

 確かにそう思う気持ちもわかります。

 数学や英語のほうがなんとなく、問題解決の役に立ちそうですよね。でも、私たちは何を学ぶにも「ことば」を使います。「ことばの力」がなくては、数学の問題もうまく解くことはできません。(……)

 本書は「思考力」、つまり「名探偵になるための推論力」を、「ことば」と一緒に考える本です。みなさんが、今この瞬間にも使っている「思考力」ですが、なんだかぼんやりしていて、捉とらえにくいものであるというのも事実です。その「思考力」を「ことば」というフィールドで考えてみようという試みです。

 乳幼児がことばを覚えるしくみについて研究をしていると、「ことばがわかること」が、必ずしも当たり前でないということに気づかされます。子どもはことばのしくみを自分で発見し、ことばの意味も自分で発見します。これはみなさんも、意識せずに成し遂とげてきたことです。

 いったいどんなふうに、そんなすごいことをしてきたのか。

 まずは、みなさんが子ども時代に成し遂げた「母語の習得という偉業」を、思い出すことから始めてみましょう。(「はじめに」より)

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