特集:空と無
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特集 空と無
「色即是空、空即是色」、日本人なら誰もが知る『般若心経』の一文だ。
仏教教義を示すことばのなかで、たぶん最もよく知られた文だが、意外にもその概念の解釈をめぐっては、今日でも議論がたえないという。学界の共通理解といえるようなものさえほとんど存在しないのが現状だと宗教学者の彌永信美氏は言う。それらの議論の中身を探ってみると、根本的な理解の相違がある。
その相違とは何か、一言で言えば、「空」を現実的肯定的な意味をもつものと捉えるか、あるいはその逆と捉えるか、ということに帰するというのである。そして、それは、仏教をどのような宗教と考えるか、という根本的な問題に直結するというのだ。
仏教は、人々の信仰や実践の「すそ野」をもちながら、きわめて知的で哲学的な理論である。その意味で、仏教は宗教を超えた宗教、一種のメタ宗教であるともいえるのだ。
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