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なかったことになんかできない。
私の想いも、授かった小さな命も。
ローマにできたばかりの新しいホテルで働くエレノラ。
オープニングパーティの夜、直属のボスでホテル王のマルコへの
長年の片想いがようやく報われ、情熱の一夜を過ごした。
愛しい人の肌のぬくもり……この瞬間を、私はずっと思い描いていた。
だが翌朝目を覚ましたとき、マルコの姿はすでになかった。
早朝の便でNYへ帰ったのだと知った数日後、彼から電話で、
きみと過ごしたあの一夜は間違いだったと謝罪された。
2カ月後、エレノラは彼の薄情な言葉を思い出し、ぎゅっと目を閉じた。
身ごもってしまったのだ――マルコの子を。
部下と過ごした一夜をなかったことにしたがっているボスの子を。
老舗ホテルグループを持つ大富豪マルコと、彼に20年以上も密かに憧れ続けてきたエレノラの、甘酸っぱくてもどかしいロマンスをお贈りします。クリスマスの装いをしてまぶしいほど煌めくNYを舞台に、予期せぬ妊娠に揺れる二人の心模様が巧みに描かれています。
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