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庶民の優れた金銭感覚の源泉(ルーツ)を探る
江戸時代、勘定奉行所役人などの武士や商人のみならず、職人、労務者、農民に至るまで、ほとんどの人々がお金の計算とやりとりをこなして暮していた。本書はこれまで手薄だった東日本圏の史料を渉猟し、旅日記や庄屋の大福帳など、その時代に生きた人々の息遣いが聞こえる一次史料から生活実態にアプローチした、近世貨幣流通史に一石を投じる労作。
・ 徳川期の銭貨流通の実態はどのようなものだったのか。本書は貨幣システムの制度面からではなく、人々の暮らしと密接不可分に結びついていた流通実態から日常生活を炙り出す。
・ 貨幣経済が進展したのは「天下の台所」上方を中心とする関西圏だけではなかった! 本書は関東での銭座経営の実態と人々の暮らしとの関わりを、村の年貢請取帳や街道筋の宿帳、銭座で働く職人の記録などの一次史料から明らかにする。
・ 小判や丁銀、一分銀などは近代(明治維新後)に通用停止となったが、銅銭などの小銭は流通し続け、明治以降にもかなりの間、現役通貨として使用されていた。明治の新政府に替わった後もその役割を保ち続けていた銭貨の歴史を、明治初期にまで拡張して叙述する。
・ 銭貨を製造した職人の働きや実物銭貨の使われ方は、公の記録としてはほとんど残されていない。東日本圏に分析の焦点を当て、庶民はどのような小銭をどう使っていたのかなど、その実態を地道に繙いていく。近世日本貨幣史に新しい視点をもたらす一冊。
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