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瀬戸内海に面した街で暮らす猫たちを中心に、人間と自然の関係や、これからの社会について考察するフォト&エッセイ。
「週刊金曜日」の好評連載、待望の書籍化。
外で暮らす猫様たちと付き合っていると、人間が支配するこの社会から彼らの居場所がどんどん縮小され続けていることにも気づかされる。
社会がその隅々にいたるまで管理・コントロールされ、消毒され、安全でキレイに整頓されればされるほど、制御不能でイレギュラーな存在である野良猫様は生きていく余地がなくなる。
僕が子どもの頃は、近所にはまだ野良犬様がウロウロしていた。人々はそれを当然のことだと思っていた。この社会は、今よりもずっと野蛮だったのだ。同時に、制御不能な存在をなんとなく包容する力と大らかさを備えていた。
だが、社会が高度に管理され整頓されていくなか、野良犬様たちは次第に人間の健康と安全を脅かす存在だとみなされるようになった。
そして街から一掃された。
今、同じようなことが、猫様にも起きているような気がしている。
――本文より
―Neko sama A photographic essay by Soda Kazuhiro―
【著者プロフィール】
想田和弘 (そうだかずひろ)
1970年栃木県生まれ。映画作家。東京大学文学部卒。スクール・オブ・ ビジュアルアーツ映画学科卒。台本やナレーションを用いない「観察映画」の手法とスタイルでドキュメンタリー映画を作り続ける。監督作品に『選挙』『精神』『Peace』『港町』などがあり、国際映画祭等で受賞多数。2024年10月現在、最新作は牛窓で撮影した『五香宮の猫』(2024年ベルリン国際映画祭招待作品)。著書に『カメラを持て、町へ出よう』(集英社インターナショナル)、『なぜ僕は瞑想するのか』(ホーム社)などがある。
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