カテリーナの微笑

カテリーナの微笑

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出版社
みすず書房
著者名
カルロ・ヴェッチェ , 日高健一郎
価格
5,940円(本体5,400円+税)
発行年月
2024年10月
判型
四六判
ISBN
9784622097280

歴史家である著者は、フィレンツェ国立古文書館でカフカス出身の奴隷カテリーナの解放証書を発見した。起草者は公証人ピエロ、すなわちレオナルド・ダ・ヴィンチの父であった。
持つものすべて、身体、自由、未来を奪われたチェルケス人の女奴隷。彼女がレオナルドの母なのか。関連史料を総動員して謎を解く、壮大な歴史小説である。
15世紀、光と闇が交錯する地中海世界。少女はカフカスの高原で捕縛され、ドン川河口の古都ターナへ。黄金色のドームが輝くコンスタンティノープルをへて奴隷交易の中心地ヴェネツィア、そしてルネサンスのフィレンツェからヴィンチ村に至る。各章の語り手は、東方を夢見た商人、ガレー船の船長、ロシア人の女奴隷、典籍収集家の騎士、破滅の縁を経験した実業家など、実際に歴史の中に生きた人びとである。
レオナルドは幼少期をカテリーナと過ごした。自然や宇宙の見方、生きとし生けるものへの愛、部族の神話や伝説、天使の美を宿す顔のイメージなどは、母から受け継いだものだ。長い別離のあとで、最期を予感したカテリーナは巡礼団に加わり、息子レオナルドのいるミラノをめざした。
難民、児童労働者、最下層に生きる21世紀のカテリーナは至るところにいる。だから著者は、新発見を学術論文でなく、小説として多くの人に向けて書いたという。

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