逆転のリスキリングとサードエイジの時代 企業の成熟世代を知的長寿にする人材育成メソッド

逆転のリスキリングとサードエイジの時代 企業の成熟世代を知的長寿にする人材育成メソッド

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出版社
日経BP
著者名
森杏奈
価格
3,300円(本体3,000円+税)
発行年月
2024年10月
判型
四六判
ISBN
9784296205547

★そのリスキリングは未来を変えてくれますか?
★AI時代、企業に新たな価値をもたらすスキルとは

 本書のテーマはビジネスパーソンの「リスキリング」にありますが、それは手段の一つであり、著者の思いはタイトルにある「逆転」に込められています。

 「逆転」には3つの意味があります。

 1つ目は、「失われた30年」といわれ、負け続けている日本経済を「逆転」させる意味です。本書の前半は時代を読み解くことにページを割き、未来に向けてどのような考え方をしていけばよいのか、著者の分析が冴えています。AIをはじめとするテクノロジーが時代を変えていくといわれていますが、実は変化は人の側にも起きていて、その変化をつかむことで、未来への一手が見えてくるというのです。

 現在、多くの企業で行われているリスキリングは、長い目で見れば少しずれていて、AIをはじめ、ますますテクノロジーが進化する時代、「人はメタスキルを身につけるべきだ」と著者は説いています。

 「メタスキル」の特徴の一つは、生涯にわたって学び続けることにあります。すべての世代が身につけるべきスキルですが、短期的に見れば、メタスキルの習得には人生経験豊富な方が有利で、成熟世代にアドバンテージがあるというのです。

 ここに、日本のチャンスがあります。成熟世代の多くは50代60代であり、「パフォーマンスと給与が見合わないお荷物世代」と経営側から見られてきましたが、著者によれば、企業に新たな価値をもたらす可能性が最も高い世代です。

 2つ目の「逆転」はHR部門目線で、成熟世代は扱いづらいと認識していたが、実は、AI時代に新たな価値をもたらす人々であるという意味です。3つ目は当の成熟世代目線で、本書に書いていることに目を向けてもらえれば、失いかけた自信を取り戻し、将来に向けて明るい道を切り開けるという意味になります。

 本書の想定読者は3つの「逆転」の当事者、つまり、経営者、HR部門、成熟世代です。日本社会が置かれている現状を直視すれば、これまでにない新たな考え方が必要です。人口減少社会で自社の未来を悲観しているなら、一度、著者の考え方に触れてほしい。本書では考え方だけでなく、そのための方法論として、AI時代に必要とされる「メタスキル」の習得方法についても具体的に解説しています。

 時代の変曲点にいる今、経営者、HR部門、成熟世代にとって、検討する価値のある一つの考え方がここに提示されたのではないかと思います。

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