嫁いだ先のお店の離れに潜む何かの気配。義母から打ち明けられた恐ろしくも切ない秘密とは──(「安達家の鬼」)。豆腐作りに精を出すお由の前に現れ、日々つけ回してくる見知らぬ老爺。しかし男はお由をよく知っているという――(「お柄杓」)。江戸の漆黒の闇を舞台に、名手たちによって浮かび上がるのは人間の悲しき性。名アンソロジストによる選りすぐりの7編。
「この座敷のわたしのそばにはね、鬼が棲んでいるのだよ」小さなお店に嫁いだわたしが義母から聞いた切ない昔語り(「安達家の鬼」)。「私はお前さんをよく知っている」両国橋で木綿豆腐を作り続けるお由は、突然現れた孫六という見知らぬ老人に付き纏われるが…(「お柄杓」)。名アンソロジストが江戸を舞台に選りすぐった、妖しく恐ろしくも美しい、七つの時代綺譚集。
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