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丸谷才一が問いかける「国家とは何か?」
日本でスーパーマーケットを経営しつつ、台湾の独立を目指す団体の代表を務める洪が、突然仲間を裏切り、台湾に戻ったという。友人の画商・梨田はその理由を探ろうとするが、確たる事情はつかめない。そんななか、洪の日本人妻が、衝撃的な話をもってきて……。
「民衆が、民衆を、民衆のために統治する民主主義は、結局のところ大衆社会といふものにゆきついてしまふでせう。大衆社会とは、一言で言へば、あくどい娯楽を民衆が待ち望んでゐる社会です」
「国家といふのは無目的に存在してるものなんでせう……株式会社なら、株主の委託を受けて利益をあげるといふ目的があるでせう。しかし国家にはそんなはつきりした目的、ないんぢやないでせうか」
洪と対立する中華民国の高官、梨田の元上官、無政府主義者のスーパーマーケット店長などさまざまな背景を持つ人が「国家論」をぶつけ合う。
圧倒的な筆力で綴られた長編の完結編。
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