在日サッカー、国境を越える

ちくまQブックス

在日サッカー、国境を越える

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出版社
筑摩書房
著者名
木村元彦
価格
1,320円(本体1,200円+税)
発行年月
2024年10月
判型
四六判
ISBN
9784480251534

アン・ヨンハは、プロのサッカー選手になる夢を持つまったく無名の19歳の在日朝鮮人。

選手権大会は予選敗退だし、Jリーグではチームに一人の「在日枠」を目指すしかないし、日本代表には絶対なれないけど、走り続けた先には世界があった!

国境を越えて輝く魂の物語。



 1990年代に入ると、日本サッカーがプロ化された。Jリーグが誕生したのだ。

 ここからJリーグの舞台に進んで実力でプロ選手への道筋を作り、北朝鮮代表にも選出されてW杯に出場した在日サッカー選手がいる。以降、多くの在日Jリーガーや北朝鮮代表選手が続いた。サッカー選手として生きていくパイオニアとなり、後輩の将来を照らした彼は高校時代、まったく無名の選手だった。彼は、「自分の選手としての原点は浪人をしていた19歳のときです」と言う。

 19歳。現在のサッカーの世界ではとうにプロ契約を済ませて代表デビューを飾っていてもおかしくない年齢である。この年で中田英寿はアトランタ五輪で活躍し、メッシはゴールデンボーイ賞を受賞し、ネイマールはリベルタドーレス杯優勝の立役者になっている。いわばすでに完成されて脚光を浴びている世代である。しかし、彼はその頃、プロどころか、どこのチームにも所属していない一人の少年にすぎなかった。

そんな男がやがて国家代表になり、W杯へ出場した。このドラマのようなストーリーを支えたのはサッカー部の出身ではなく、コーチ経験のない、これまたまったく無名のただのサッカー好きの男だった。

 浪人生とただの男。二人は何もないところから、夢を見て実現させた。私は今からその物語を書いていこうと思う。(本文より)

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