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エリザベス・ボウエン(1899~1973)はアイルランドに生まれ、イングランドによる植民地支配から独立する祖国を見守った作家である。
作家ボウエンを誕生させたのはアイルランドとイングランド、そして二度の世界大戦であり、二つの祖国を取り囲む歴史は彼女のフィクションの源泉といえよう。
本書では、戦中を生き抜いた女性作家ボウエンの複雑な一面を描出する。
幼少期より発症した吃音、広壮なボウエンズ・コートでの生活、第二次大戦中はアイルランドに渡り、中立策を取ったアイルランドの内情をチャーチルに報告、夫アランとの結婚生活はボウエンにとって安定した日々を意味したが、複数の婚外関係が存在した……。ヴァージニア・ウルフ、メイ・サートンをはじめとする文学上の交友関係も詳述され、現実と虚構を豊かに行き来した作家の姿を浮かび上がらせる。
ボウエンの生涯と作品を深く読み込み、難解とされる文体の謎にも迫る濃密な文芸批評。
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