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発達障害の観点から小説版ムーミン・シリーズを読み解いた、全く新しいムーミン評論!
はみだしている人たちのために書かれたというムーミン・シリーズの新たな魅力を見いだし、ムーミン谷のように、誰もが住みよい世界をつくるヒントに満ちた1冊。
作品の奥深さ、トーベ・ヤンソンの才能の素晴らしさがより多面的にわかります。
自分勝手で、てんでバラバラなのに、ムーミン谷ではみんなが仲よく暮らしているのはなぜなのか。
発達障害(自閉スペクトラム症、注意欠如多動症)と診断された文学研究者の著者には、ムーミン・シリーズのキャラクターの多くに「ニューロマイノリティ(脳の少数派)」の特性が備わっていると感じられ、それが独特の世界観と調和につながるという。
著者は、自閉スペクトラム症の自助グループに初めて参加した時、「ここはムーミン谷だ!」と驚いたという。また彼らは、ムーミン・シリーズのキャラクターに共振する人がとても多い。
たとえば、収集癖のあるヘムレンさんにはこだわりが強い自閉スペクトラム症の特徴があり、冒険をしたいムーミン・パパにはADHD(注意欠如多動症)の特性がある。そして孤独を愛するスナフキンは必ず旅に出てしまう。また、美しい自然描写が多いのにもわけがある。
本書を読めば、自閉スペクトラム症の人々の自閉的世界の豊かさがよくわかる。また互いに自由や孤独を認め合う環境があれば、少数派である彼らも安心して才能を発揮することができることも。
コラム寄稿
畑中麻紀(新版ムーミン全集 改訂翻訳者)「ぴったりの居場所がない人のために」
二村ヒトシ(AV監督、文筆家)「大人のテーマが描かれている(ようにぼくには思える)ムーミン・シリーズ」
【著者略歴】
横道誠(よこみちまこと)
京都府立大学文学部准教授。文学博士。専門は文学・当事者研究。1979年、大阪府生まれ。40歳で自閉スペクトラム症、ADHDと診断され、発達障害当事者自助グループ活動も精力的に行う。自助グループで「ここはムーミン谷だ!」と思ったのが本書執筆のきっかけとなった。
単著に『みんな水の中』(医学書院)、『創作者の体感世界』(光文社新書)、『アダルトチルドレンの教科書』(晶文社)など。共著に『酒をやめられない文学研究者とタバコをやめられない精神科医が本気で語り明かした依存症の話』(太田出版)、編著に『信仰から解放されない子どもたち』(明石書店)などがある。
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