本書は、代数学の基本概念である群と環・体の基本を中心に概説した教科書である。大学の数学科3年生向けの代数学通年講義をカバーしている。加えて加群の初等的理論、有限群の表現論の初歩も記述している。扱っている主要なテーマは、群の準同型定理、群の作用、群の組成列、可換環での整除、ネーター環でのイデアルの準素分解、主イデアル整域上の加群の構造、加群のテンソル積、半単純アルチン環の構造定理と有限群の表現への応用、代数拡大のガロワ理論と代数方程式への応用、体の超越拡大などである。
有限群の表現と指標の初等理論は、複素数体上の表現に限らない形で展開を試みた。非可換の場合も含めたいろいろな環を扱い、イデアルの準素分解も紹介したのは、本書の特長と言えよう。より専門的な内容を学ぶ際のベースキャンプとして本書を使うことが出来よう。
本書を通じて、各定義を理解するための典型的な例を挙げ、ほぼすべての命題・定理に証明を付けてある。証明を理解すると共に、例を確認する作業を通じて定義の意味、定理の意義を理解するよう心掛けてほしい。また、各小節ごとに演習問題を数問ずつおいたので、いくつか試してみるとよい。比較的詳しい解答が本書末に載せてある。
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