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現在も世界中で読まれる20世紀最高峰の考古学者チャイルド。その哲学的歴史叙述は常に新たな研究視点をもたらす源泉であり、決して忘れ去られない。ヨーロッパ人類史を解明し、ビッグ・ヒストリー考古学の元祖と言われ、ポップカルチャーの考古学者像にも影響を与えたこの傑物の若き日の代表作、本邦初訳。詳細な用語説明・解説を付す。
【推薦】溝口孝司氏 (九州大学教授・World Archaeological Congress(世界考古学会議)第6代代表)
体系性を完備した専門分野としての考古学の確立を告げた本書には、この学問がたどることになる軌跡と、その道程で出会う困難と克服へのヒントが既に予告されていた。しかし、そのことを十分に読み込み感得することは、この書物を生涯の「プロジェクト」とした知の巨人ヴィア・ゴードン・チャイルドの、過去と同時代と未来との対峙の構えの全体的な把握なしには困難である。この翻訳事業は、各改版時の変更とその含意の検討を手がかりに「プロジェクト」としての本書の性格を浮き彫りにすることにより、その含意の確実な定位と、その可能性の核心へと読者がそれぞれに接近することを可能にした。
名声高くも謎(エニグマ)的であった『ヨーロッパ文明の黎明』が、真の意味でのアクチュアリティをもって今、わたくしたちの前に再び現れることとなったことを、本当にうれしく思う。
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