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故郷と家族の記憶を辿る、祖父と孫の長い旅
奈良と三重の県境あたりを水源とし、紀伊水道に注ぐ大河「紀ノ川」。一度氾濫すれば土地の形を変えるほどに荒れ、人々の生活や命を奪ってきたこの暴れ川も、今では治水によって穏やかな流れに変わっている。
そんな紀ノ川流域の景色に一人の老人が佇んで、写真に収まっている。老人は著者の祖父にあたり、和歌山でずっと暮らしてきた。著者は十年以上かけて、祖父が写真に残したいと思う場所の撮影を続けるが、いずれも何の変哲もない風景ばかり。なぜこんな場所を選ぶのか著者には分からなかったが、撮影と対話を重ねうちに、景色の見え方が変わる感覚があった…。
紀ノ川の風土と歴史、その流域で暮らした家族の記憶を辿りながら、祖父と孫の旅は続いてゆく。
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