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ゆうすげは君と見し花
その色に月が浮かびて地球を悲しむ
植物を愛し、亡き夫を慕い、戦火の絶えない地球に思いを馳せる。
人が誰かを支え、支えられて生きることは、こんなにも哀しく、
慈しみ深いことであろうか。作者はかなしみの底から歌いはじめた。
――桜川冴子
【収録歌より】
瑠璃色の凜々しき顔に胸開き湖水を進む鴨の矜持よ
待ちわびる患者の顔の浮かびきて夫の訪問診療に随(したが)う ? ? ??
老い人の心を支えるお笑いのテレビの中のはしゃぐ人たち
空の門ゆるみて雪のなだれ落つたじろがず立つ柊すが清(すが)し
満月を迎えるごとく仰ぎつつ月の利権の争い悲し
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