万の枝

椋叢書

万の枝

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出版社
ふらんす堂
著者名
石田郷子
価格
2,970円(本体2,700円+税)
発行年月
2024年9月
判型
四六判
ISBN
9784781416861

◆第四句集



つゆけしや夕暮れの声捨てに出て



『万の枝』は、『草の王』以後九年間の作品を収めた第四句集である。

 新型コロナウイルス感染症の世界的流行を経て、ようやく対面での句会が復活し、「椋」誌もこの秋には創刊二十周年を迎える。私も、この句集を一つの区切りとしたかった。

(あとがきより)





◆収録作品

大瑠璃のこゑに縛されゆくごとし

畝高く立ててあり春待つてをり

碧玉の一湖も秋に入りにけり

足組んで春が深しと思ひをり

みそはぎや胸に棲むこゑひとつある

しろだもの花よ冬日のやうな花

たとふれば炎心の色夏果つる

とうすみの影より淡き翅を閉づ

尾で応ふる猫よ十二月の窓よ

凍つるよをみひらきしまま逝きにけり

秋水に幼な子の名を訊きかへす

藪漕ぎの陽春の野に出でにけり

昔日や鏡の奥に蜘蛛が住み

ほうたるを待つ横顔に加はりぬ

秋入日束の間稜線を溢れ

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