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理科だからこそ実現できる防災・減災教育
本書の概要
地震・津波、火山噴火、暴風・豪雨などはあくまで自然現象で、人間や社会が被害を受けたときに初めて「自然災害」となります。つまり、防災・減災を徹底するためには、自然現象の発生から災害に至るまでのメカニズムを正しく理解することが不可欠なのです。さらに、自然と人間との関わりを踏まえながら、適切に教材化していく視点が求められます。自然災害が頻発する日本列島において、安全な生活につながる学びを理科授業でどのように実現していくべきか、その可能性について考える一冊です。
本書からわかること
自然が与える恵みと災い
自然現象は、時に甚大な自然災害となる一方、食料やエネルギー、鉱物などの資源から、娯楽やレジャーなどの観光資源まで、人間に多くの恩恵をもたらすものでもあります。自然には、恩恵と災害という二面性があることを常に意識する必要があります。例えば、本書のカバー写真でもある石川県輪島市の「白米千枚田」は、世界農業遺産に認定された美しい棚田で、地すべりによって生じた地形を農地に活かしています。この地は2024年1月の能登半島地震によって大きなダメージを受け、8月現在、復旧を目指している状況です。
自然現象から「自然災害」へと至るメカニズム
現代は予測不可能なVUCA時代と呼ばれますが、自然災害はまさに想定外の影響を人間の生活に及ぼしてきました。地震や津波なども元々は自然現象の一つに過ぎませんが、その発生や社会に与える混乱は予測が難しく、古来よりその課題に取り組んできた歴史が、日本の独自性をつくったとも言えます。防災・減災のためには、まずは自然災害につながる自然現象を正しく理解することが不可欠。本書の第2章には、自然現象から自然災害へと至るメカニズムを詳しく解説しています。
自然と人間との関わりを踏まえた理科教育へ
従来、理科教育が取り扱う対象はあくまで自然現象の範疇を超えないものであるという考え方がありました。しかしながら、現行の学習指導要領では、日常生活や社会との関わりが重視されています。すなわち、理科教育においても従来の枠組みを超え、自然と人間との関わりを踏まえながら、自然災害を取り扱うことが求められているのです。持続可能な社会の担い手を育成するために、これからの時代の防災・減災教育を構築していくことも理科教育が担う役割の一つと言えるでしょう。
自然災害を取り扱った授業展開を15例掲載
本書では、自然災害を取り扱った小・中学校の授業事例を15例紹介しています。それぞれの単元において、どのように自然災害との関連を図り、子どもたちの防災・減災への意識を高めていくか、そのヒントが満載です。
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