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◆第四句集
古セーターまぼろしの雨棲みゐたり
不意にひらかれる扉は、私のあずかり知らぬ思いを届けてくれる瞬間でもある。思わざるところから立ち現れるいまとは別の時間や記憶、それらは私の水底世界のような処につながる回路を知っているらしい。それらが醸す面白さ、不可思議さを享受しての一集となった。(あとがき)
●鳥の十句
着ぶくれて鴉の森に隠るるか
白鳥は水に囲まれつつ来り
麦秋や死の数に鳥ふくまれず
鳴く空に鳥のゐて汗流れけり
あかるさの花鶏が奈良に散らばれり
銀漢のかたむきて鳥こぼしけり
身をひねる天日の鷹捉へむと
口笛の稽古つばめを待つてをり
棒立ちの男の見やる雉子かな
こゑといふ糸引けば小綬鶏がほら
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