この数年の間に世界情勢はめまぐるしく変化している。ビッグデータを活用した情報通信技術や、 IoT、AI の技術革新などが、これまでにない速度で世の中を物理的にも精神的にも変えてきている。こうしたなかで、建築が積極的に新局面を誘発し、展開する場として機能することが必要となっている。
建築計画学も創生期から成熟期を経て、新たな展開が図られる時期になってきた。これまでの人間のための空間を創造するという建築計画学の理念そのものが、地球環境の保全や生物多様性の持続というグローバルな問題へシフトし、建築の目標が大きく変化してきている。さらに、都市空間を構成するものとしての建築の社会的意義である表現の自由や多様性、芸術性が追求されるようになってきた。建築することが都市をつくることになってきた。
この流れの中で、本書にもこれまでの建築計画学とは異なるいくつかの特徴を込めたつもりである。中でも地球環境の持続性の問題は最も大きい。つくり続けてきた建築から、良いものを長く使いこなす時代の到来である。人間中心から、生物界全体の問題として建築をとらえ直す必要がある。
建築を初めて学ぶ学生を対象とし、内容がわかりやすいことを心がけたが、特別な項目を深く掘り下げている箇所が散見されることも事実である。そこについては、一通り学んだ後にでも再読いただくと、その有用性が認識されるものと考えている。
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