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現代の多くの社会制度は人や組織を直接統治するのではなく、各主体に自立を促す一方で、自分自身を管理させる間接的な統治スタイルとなっており、「自己統治・第三者認証型」統治システムと著者は名付ける。この原理が、現代社会の内部統制制度を中心とする、諸制度の根底に潜んでいることを、フーコーの権力論、ボードリヤールの記号論、パワーの「監査社会」論も援用しながら、明らかにしていく。
すなわち、日本の内部統制制度は、2000年代以降、米国の影響を受けて、大きく転換を遂げ、それ以前の制度とは異質な制度となったこと、それがリスクマネジメントと深く結びついて多様な領域で利用されていること、さらにコーポレートガバナンスがこうした動向を後押しして、実務の基準を提起しているのである。つまり内部統制制度、リスクマネジメント、コーポレートガバナンスが相互に結びつき、三位一体化して現代の諸制度を形成していることを示す。そして、その根底には現代的な諸制度に共通する「自己統治・第三者認証型」統治システムの原理があり、それは、コンプライアンス、NPM(ニューパブリックマネジメント)、ISO、CSR(企業社会責任)などの諸制度、さらには健康経営、第三者委員会などの新しく登場した制度にも影響を与えている。つまり現代的な諸制度の多くが、この原理を土台としていることを解き明かしていく。
読者には、細部にとらわれず、大局を理解する読み方をされることをお勧めしたい。それによって、今後、新たな制度の設計や既存の制度の修正に当たって、適切な理解と実務的な対応を可能とする有益な視点が得られることだろう。
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