近年、地震時に架構部材や接合部が壊れながら運動エネルギーを吸収する従来構造に対比し、ダンパーが代わりに運動エネルギー吸収することにより、架構部材や接合部への負担・損傷を軽減するという制振構造が注目されています。
制振構造は中規模以上の建物に対しては基本的な技術が確立され、また、技術基準が協会、学会の指針としても発行されています。戸建住宅の制振も、近年盛んに検討されているが、大規模建物のようには普及していません。その理由は、制振壁の評価法や住宅制振の簡易で合理的な設計法が未整備なためであると考えられます。
この状況から、建築研究開発コンソーシアムのもとで2007年に住宅制振構造研究会が組織され、約30名の委員とともに8年間、多くの検討が行われました。しかしながら、その後様々な観点から内容の改善と拡充の必要性が認識されたため、東京工業大学を中心に研究の蓄積とそれに基づく大幅な書き直しが行われ、この度の「住宅制振設計マニュアル」の発行に至ることができました。
本マニュアルは、住宅の制振技術の開発や、それを使った設計に必要な内容を包括的に記載しています。住宅の大半を占める木質構造、また、特に言及しない限り在来軸組工法の戸建住宅を対象としています。鉄骨構造に関しては適宜注釈するのみに留めており、マニュアル改訂時に対象に加える予定です。
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