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二〇二四年六月一九日に地方自治法の改正が国会で可決されました。このうち大部分は公布から三か月以内に施行されます。この改正についてはメディアでも国会でも賛否が分かれいくつかの課題や問題点が指摘されています。
正直に言えば私もこの改正には反対してきましたが、法律が可決されれば自治体はそれを執行する準備をしなければなりませんし、地域社会や市民はこれをどのように受け入れるかを考えなくてはなりません。あるいは、一部については「執行しない」という選択肢もありますが、いずれにしても判断して対策を立てる必要があります。
そのためには、まずは何がどう変わったのか、どこに課題が残っているのかを知ることが大切です。自治体や市民にとってこの改正の中に課題が残っているとすれば、いささかでもその影響を少なくしたほうがよいと思うからです。そのことを通じて、やはりこのままではいけないと思うようになるかもしれません。
今回の改正に伴って少なくとも市町村には条例を制定する必要がありそうです。自治体関係者はもとより、地域社会や市民にとってもどのような考え方で対応するかということは重要ですし、その表現の一つが条例です。一方、都道府県にとっても、あらかじめ条例で定めておいたほうがよいのではないかという課題があります。法律で書き込むこととされている事項だけではなく、それぞれの自治体の将来を展望しながら、なおかつ実務的な困難を解決する内容を条例に盛り込むべきではないかと思います。
本書(上巻)は何がどう改正されたのかを知っていただきたいと思い、無理を言って早めに出版することにしました。したがってこれから出るはずの政省令や通知などは配慮できていません。あくまでも法律に何が書いてあるのかだけに注目していますし、むしろそれが本筋ではないかと考えています。
本書の後に続く下巻では、今回の自治法改正の経過や問題点を自治体関係者や国会、さらには研究者などへのインタビューを中心にまとめることになっています。広くて深い観点から考えるために、あわせてご覧くださるとありがたく思います。(「はじめに」より)
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