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"アーレントはなぜアメリカでの黒人問題について差別的な発言・記述を繰り返したのか
黒人問題はアーレント思想の急所である
ユダヤ人としてナチ政権下で命の危機に晒された経験を持つアーレントが、アメリカでの黒人問題については差別的な発言・記述を繰り返したのは何故だったのか。「黒人問題は黒人の問題ではなく白人の問題である」と喝破する著者が、アーレント思想に潜む「人種問題」を剔抉する。
「私は、アーレントの思想をまるまる捨て去って、彼女にレイシストのレッテルを貼ろうとしているわけではない。アーレントは『起源』のなかで数々の難問を徹底して考え抜き、困難な時代と状況の意味を理解しようと試みている。多くの場合、彼女の探究方針は非常に有益かつ生産的なものだ。そこには全体主義の由来を帝国主義の暴力的な体制にまで遡った彼女の力量も含まれる。しかし同時に彼女の分析には大きな欠点も存在する。とりわけ、黒人やアフリカ人に対するレイシズムの問題に話が及んだ際にその欠点が露わになる。」
(5「来るべき崩壊への準備段階」より)
原書:Kathryn T. Gines.?Hannah Arendt and the Negro Question,?Indiana University Press, 2014.
◎目次
略語一覧〔付・邦訳文献〕
まえがき
謝辞
序論
1 「少女は、明らかに英雄となるよう求められていた」
2 「南部諸州で最も許し難い法律――異人種間結婚を犯罪とする法律」
3 「人間的生の三領域――政治的なもの・社会的なもの・私的なもの」
4 「革命の最終目的は自由の創設である」
5 「来るべき崩壊への準備段階」
6 「暴力と他者への支配だけが一部の男性を自由にできた」
7 「私たちの高等教育機関にとって学生の運動よりもはるかに大きな脅威」
結論 アーレントの黒人問題へのアプローチにおける判断の役割
訳者あとがき
注
索引"
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