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驚くほどの先見の明をもって立憲主義のエートスを的確にとらえたにもかかわらず、
非業の刑死を遂げた仙台藩士。その波瀾に満ちた生涯!
「勝ち組」と「負け組」の入れ替りに目を奪われることのないものの見方を、この本は読者ひとりひとりに示唆してくれるであろう。──樋口陽一(憲法学者)
明治と改元され一か月半後、戊辰戦争の終末も迫っていた明治元(一八六八)年一〇月一四日、志津川の宿駅で、半髪・細面の、濃い眉と引き締まった顔貌をもつ熟年の仙台藩士が、数人の捕吏の手で捕縛された。藩校・養賢堂の指南統取であり、また薩長主体の新政府軍に激しく抗した奥羽越列藩同盟の最高幹部の一人であった、玉蟲左太夫その人であった。/その捕縛からわずか半年後の明治二(一八六九)年四月九日、玉蟲は牢前切腹を命じられ、宮城野の露と消えた。数えで四七歳の春であった。……その峻烈極まる刑は、新政府の命令によるものではなく、実際には藩内反対派=尊攘派の主導によるものであった。(本書「まえがき」より)
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【目次】
まえがき 幕末の異材・玉蟲左太夫の人間像を求めて
第1章 歴史の中の玉蟲左太夫
第2章 玉蟲家の家譜と伝統――文の時代(一)・一八二三~一八四六
第3章 安政四年の蝦夷地・樺太巡検団への参加――文の時代(二)・一八四六~一八五九
第4章 万延元年・遣米使節団従者として――文の時代(三)・一八六〇
第5章 探索者・玉蟲左太夫の活動――幕間の時代・一八六一~一八六五
第6章 戊辰戦争・仙台藩・玉蟲左太夫――武の時代・一八六六~一八六九
第7章 明治維新後の東北像と玉蟲左太夫
終章 戊辰残照――玉蟲左太夫の生死(しょうじ)が語るもの
「歴史のなかの一仙台藩士――その生と死 後藤乾一氏の力作に寄せて」……樋口陽一
あとがき
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