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ナチス占領下のパリに生きた市井の人々
東欧からのユダヤ系移民たちや貧しい人びとが数多く住むパリの集合住宅は、ナチス占領下の困難な時代をいかに乗り越えたのか。ヴィシー政権下の1940年代前半を中心に、1840年代に遡る建物の完成から21世紀の現在に至るまで、この集合住宅に生まれ、暮らし、消えていった名もなき無数の人びとの物語を丹念に紡ぎだす、唯一無二の歴史ドキュメンタリー。
我々二〇九番地。貧者も、死者も生者も、行方不明者も帰還者も、我々パリ・コミューン参加者も職人も、レジスタンス活動家も密告者も、我々恋する娘もふしだらな女も、我々カビール人もポーランド人も、ユダヤ人も、ポルトガル人もブルターニュ人も、モロッコ人もイタリア人も、我々、オデット、アルベール、ダニエル、ヘンリーも、シャルルも、その他の人々も皆、我々二〇九番地なのだ。「我々二〇九番地」という言い方は、想像上の故郷を力強く誇らしく表明するものであり、中庭の上で四角く切り取られた空がその旗印となるだろう。(本書より)
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