時空のゆがみを解きほぐす数学

時空のゆがみを解きほぐす数学

1~2日で出荷、新刊の場合、発売日以降のお届けになります

出版社
すばる舎
著者名
スティーヴ・ネイディス , シン・トゥン・ヤウ , 辻川信二
価格
3,520円(本体3,200円+税)
発行年月
2024年8月
判型
四六判
ISBN
9784799112519

チャンスは1970年1月、カリフォルニア大学バークレー校で数学を専攻した大学院1年目におとずれた。……新年度を迎えて一般相対論としばしばよばれる理論の講義を聴講しはじめた。そこで引力として長らく説明されてきた重力が、より正確には幾何学的な効果で、巨大な物体の存在による時空の湾曲または歪みの結果と知り、驚いた。これは私にとって、ある種の啓示のようなものだった。物理学が幾何学とこれほど密接に関係しているとは、まったく気づいていなかったからだ。 (シン=トゥン・ヤウによる「はじめに」より)

じつのところ一般相対性理論が実り多きものである証の一つは、一般相対性理論が発表されて1世紀以上たった現在も、物理学者や数学者がその意味を解明しようと理論の新たな一面を見つけては押したり突いたりと探求をつづけている事実だ。この大成功を収めた生産的な理論が、半世紀近くにわたり物理学者からほとんど無視されていた幾何学という数学の一分野を中心にして構築されたことは忘れてはならない。……もちろんこれは数学の驚異的な持続力を物語ってもいる。厳密に証明された数学の定理は、人類史上ほかに類を見ないとはいわないまでも、つねに維持されるという稀有な性質をもっている。……これらの〈公理〉は、ある種のツールであり、その後たとえ数世紀たったとしても再発見されて、もとの考案者が夢にも思わなかったような方法で利用されうるということだ。1900年代初頭に起きた、まさにこの種の「リサイクル」行為こそが、本書の著者二人が語りたい物語の中心にあるものだ。 (前奏曲「円錐の切り方は一つじゃない」より)

一般相対性理論の〈場の方程式〉の導出は、こんにちにおいても称賛にあたいする記念碑的な偉業だった。ところがアルベルト・アインシュタインはその勝利の瞬間においてさえ、みずから苦労して考えだした連立非線型偏微分方程式の厳密解を見つけられるか否かに確信がもてず、ほかの人が提示した解のいくつかに対しても懐疑的なままだった。……物理学者ブランドン・カーターは次のように書いている。「アインシュタインの仕事は革命的な意味をもっていたが……彼の本能はむしろ保守的な傾向があった」。 (第4章「特異すぎる解」冒頭より)

お気に入りカテゴリ

よく利用するジャンルを設定できます。

≫ 設定

カテゴリ

「+」ボタンからジャンル(検索条件)を絞って検索してください。
表示の並び替えができます。

page top