イランを知る その誇りと抵抗

イランを知る その誇りと抵抗

出版社よりお取り寄せ(通常3日~20日で出荷)
※20日以内での商品確保が難しい場合、キャンセルさせて頂きます

出版社
キャラバン
著者名
小川光一
価格
1,870円(本体1,700円+税)
発行年月
2024年8月
判型
四六判
ISBN
9784990374969

民族文化と風土の匂いが物語る、イラン人が心に抱く強い誇りと侠気。シーア派信仰の歴史の裏に潜む涙の民族情念。その源流を辿る一冊。対立の報道からでは決してイランは見えてこない。「覗く窓が異なれば、外の景色は同じでは有り得ない。それを知るところにこそ対話の鍵がある」
かつて米国と蜜月であった超親米のシャー政権の崩壊以降、米国によるイランに対する嫌悪と「悪の枢軸国」という一方的な決めつけ、極端な経済・金融封鎖、その背後にあるイスラエルという存在。それに対してあくまでも一切なびかないイランとの対立は、まさに【独善】と【頑迷】によるデスマッチバトルの様相を続けています。
著者は20代であった1980年代を通じ、ヨーロッパ・ギリシャから中近東を経てインド・ネパールへ至る陸路を数往復する中で暮らし、その間、イラン・イラク戦争当時のイランへの入出国をしばしば繰り返していました。1979年のイスラム革命後の混乱とイラク戦争、当時国内外に大きな緊張と苦難を抱えていたイランの世相の中でも感じたイラン人の高い文化性と、その背景にある民族の強い誇りと矜持の存在を著者は次第に知っていく事となります。そしてその源流は、2500年前に遡るペルシャや拝火教(ゾロアスター教)といった民族文化風土へと繋がっていました。 
著者は6~7年の間、しばしばイラン人の市井に分け入って国内各地を訪ね歩きますが、彼にとって痛恨の極みながら、その後当局からスパイ容疑で拘束され、国外退去となってしまいます。但しその後も輸入商として訪ねた近隣のシリア、ギリシャ、キプロス、インド、そして日本からも、著者はずっとイラン情勢を追っていました。すると、現地から離れて感情も一歩離れてイランを俯瞰視した時、逆にそれまで散逸していた多くの事柄が一つにまとまっていくという実感を得る事になります。
それは一言で言えば、イラン人が共通して抱く、その壮大な民族史ドラマのマグマともいえる熱いバックボーンの存在でした。 気をつけて見るならば、現在イランが示す国際社会への対応や言動の中にも、その長い歴史の陰に潜む涙と誇り、民族自決への矜持といった強いメッセージが潜んでいる事に気づかされた事でした。
同時に、イランの現政権を支持する体制派、それを否定する反体制派にしろ、すべてはイラン人が誇り守り続けて来た民族情念から振り出された、サイコロの目の一つなのだという理解。例えばへジャブの着用問題と同義のイランの民主化にしても、決してそれは欧米イズムが提唱する普遍性や国際フェニミズムと同義ではないのです。先のノーベル平和賞を受賞した人権活動家ナルゲス・モハンマディ女史による「私は抑圧や差別、専制に立ち上がった誇り高い数百万のイラン人女性の一人だ」とするメッセージもそれを物語っています。 
本書は米国によるプロパガンダや、ミサイルの性能比較、宗教論争といった、型にはめられた報道とは一線を画し、あくまでもイランの民族文化と風土の匂いを辿る事で見えて来る、その誇りと主張の源流を追っています。

お気に入りカテゴリ

よく利用するジャンルを設定できます。

≫ 設定

カテゴリ

「+」ボタンからジャンル(検索条件)を絞って検索してください。
表示の並び替えができます。

page top