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昭和20年、敗戦で一変する平穏な生活──
十月出産予定の身重のカホルは、六、四、二歳の三人の子どもを連れて、夫は肺炎で入院中の八歳の長男に付き添い、ソ蒙軍から逃れて引揚列車で張家口を脱出する。敗戦から5日目の夜である。飢えや渇きに苦しみ寒さに震え、時には銃声におののきながらの逃避行だ。過酷な環境の中で、時には死とも向き合う。
本書は、著者の母・カホルが、戦時下の中国から幼馴染のヨシエに送った十六通の手紙をもとにした物語である。
「私にとっては、この手紙を手にすることで、やっと〈終戦〉と〈戦後の苦しい生活〉の終了を迎えたような気がしました」(「はじめに」より)
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