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【もし、親の耳が聴こえたら――なんて、想像もつかなかった。】
ときに手話を母語とし、ときにヤングケアラーとみなされて、コーダは、ろう者とも聴者(ちょうしゃ)とも違うアイデンティティをもち、複雑な心を抱えて揺れ動く。
日々の通訳、聴こえない親とのコミュニケーション、母語としての手話、手話歌や「感動ポルノ」との付き合い方、マイノリティとして生きること。作家である著者が、幼少期の葛藤や自身のなかにある偏見と向き合いながら、コーダの目で見た世界を綴る。
2024年9月公開映画「ぼくが生きてる、ふたつの世界」原作者の最新エッセイ集。
※コーダとは、Children of Deaf Adultsの略(CODA)で、聴こえない/聴こえにくい親のもとで育つ、聴こえる子どものこと。
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「あなたはコーダなんだね」と言われたとき、生まれて初めて感じるような衝撃を受けた。自分のような生い立ちを持つ者を総称する言葉がある。その事実は、たしかな安堵をもたらした。名前が付けられるということは、同じ境遇にある人が一定数以上存在することを意味するだろう。つまり、ぼくはひとりではないということだ。
(本書より)
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《Contents》
はじめに 聴こえない親のもとで育つ、聴こえる子ども
Ⅰ 1 聴こえない親との関係/2 ラベルがもたらす安堵感/3 コーダはヤングケアラーか
Ⅱ 4 手話とはなにか/5 親との共通言語を取り戻す/6 音楽との付き合い方/7 作品に描かれるマイノリティ/8 「知る」だけで終わらせない
Ⅲ 9 テクノロジーとコミュニケーション/10 コーダと家族/11 父について/12 もしも親が聴こえたら
おわりに コーダを生きる
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