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前歌集出版から十一年。その間に身に降りかかった
さまざまな出来事を刻むように歌にとどめ、
大きな歴史の流れへ、さらに未来へと思いを巡らせた。
自らを俯瞰しつつ、大切な<時>と向き合った第六歌集。
【歌集より】
ポルトとうお菓子がありて佐世保には 食めば少女期ぽろぽろこぼる
戦艦の保有数こそ国力とゆめ思わねど目の当たりにす
癒えてゆく過程というは神さびて杳か旅して帰りたる鳥
人も犬も疲れて夏を籠るとき大き傘なす庭の芋の葉
教室で教えられれば疑わずこの子もきっと軍国少女
暮鳥の「山はぷりずむ 山山山」雪片、精霊、光渦まく
水澄めばスクリューの泡も玻璃の玉 永遠ならざるものを航きゆく
装幀=倉本 修
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