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人間国宝・生野祥雲斎を父に持つ、大分県の竹藝家・生野徳三、寿子夫妻の美しい暮らしを写した『此君亭好日|しくんていこうじつ』。
此君亭は、日本ではじめて竹工藝分野で人間国宝に認定された「生野祥雲斎|しょうのしょううんさい」の自宅兼工房として建てられました。
庭、家、花。
暮らしのかたわらにある美を感じる空間は、柳宗悦やバーナード・リーチ等、名立たる芸術家たちを迎える桃源郷となりました。
土地に根差して生きること。
暮らしを美しく彩ること。
竹を通して文化を形成するという仕事のこと。
弟子を育てること。
子供を産み、そして老いること。
5年にわたり撮り下ろした四季折々の珠玉の写真と、12カ月の禅語で語る、日本文化と物創りの姿勢を綴ったコラムからは、人間の根源である、暮らしの普遍的な美に気付かされます。
先代・生野祥雲斎が土地を切り開き、当代・徳三氏と寿子夫人が築き上げた「此君亭」。描かれているのは揺れる水面に時の移ろいが映え、床の間に四季の風が吹く此君亭の歳時記ですが、この本が持つ日々の営みへの慈愛のまなざしは、万人の胸を打つ人生賛歌となっています。
「暮らしの喜怒哀楽が芸術であってほしい」という著者の一文は、物創りを志す人への応援歌でもあります。
読み手の人生経験の重なりにより、その時々で受ける印象や心の琴線に触れる箇所は変化し、時々で新しい発見があることでしょう。
本著が古い友人のように、この本をかたわらに置いてくださる方の佳き宿り木となってくれることを願います。
全編英訳を添え、日本建築や庭、禅、竹工藝に興味のある海外の方にも楽しんでいただけます。
「庭屋一如」、日本の美が詰まった272頁です。
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