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西岡竹次郎(1890~1958)は、むしろ新自由クラブの立ち上げに関わり文部大臣や参議院議長を務めた長男・武夫のほうが政治史に名を成しており、今では忘れられた政治家といえよう。初等教育(六年)・中等教育(五年)を修了できないほどの筆舌に尽くしがたい貧困、にもかかわらず早稲田大学専門部に進学を果たし、新聞・雑誌社を創業、衆議院議員・政務次官・県知事にまで上り詰めた竹次郎は、普通選挙運動や婦人参政権運動にのめり込みながら、戦時ファシズムや開発政治に深入りするなど、紆余曲折の人生を辿った。最貧困からのし上がった「無名」のメディア政治家の軌跡に、近代日本の裂け目を見出す評伝。
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