光は古くから人々の興味の対象となっており、紀元前には既に光の直進性や反射・屈折が認識されていました。16世紀に入ると、光の研究は力学とならんで飛躍的発展をとげ、20世紀初頭までに光を波として扱う光学がほぼ完成されました。ヤングの干渉実験は光が波の性質をもつことを示した重要な実験であり、光がマクスウェル方程式に従う電磁波であることも示されました。ところが、光電効果のように波では説明できない現象が発見されたことで、光は波と粒子の両方の性質を併せ持つことが明らかとなり、量子光学が生まれました。レーザーは量子光学の最大の成果ともいえるものであり、私たちの日常生活において不可欠なものとなっています。
本書では、光の波としての性質を幅広くカバーできるように、各章の内容のまとめと30の例題、発展問題を配置しています。マクスウェル方程式に基づく伝播、干渉、回折といった基礎的事項に始まり、レンズ、光線光学などの実際の光学系の設計に役立つ事項を取り上げています。特に、レーザー光が伝播する状態であるガウシアンビームについて詳しく紹介をしています。また、複雑な光学素子の組合せの計算を可能とする、行列を用いた計算方法も紹介しています。これらは、解析的な計算結果を得ることは難しい手法ですが、計算機により数値的な結果を得るための基礎となるものです。さらに、光パルスの時間的特性の取り扱いも示しました。
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