鳴鳴

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出版社
ふらんす堂
著者名
緒方順一
価格
1,870円(本体1,700円+税)
発行年月
2024年6月
判型
A5
ISBN
9784781416694

曳いて来し山羊に曳かれて青き踏む

九年共に暮らした山羊のうしお君との思い出は尽きない。最期を看取った順一さんの姿

は本当の家族そのものだった。山羊の好んで食べていたものなどを見るたびにこれからも

思い出されることだろう。本集はうしお君追悼の思いで編むことを決意されたという。幸

せな山羊だったとつくづく思う。

(序より・名村早智子)



●自選十句

屈ませるちから菫のそのどこに

踏まれたる草の芽むんと戻りけり

本といふ窓の形や緑さす

滝に身を貫かれたく仰ぎけり

身の冷えてなほ一瀑を去り難し

尾頭は地球の裏か鱗雲

この膝も岩場の一つ赤とんぼ

梟の飛ぶ構へして糞放つ

放たれし山羊吸はれゆく夏野かな

秋草の香りもろとも子山羊抱く

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