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近年、「所有者不明土地」が大きな社会問題となり、この点に対応するための法改正などもされています。実際に筆者が直接聞いた話の中でも、相続が重なった結果、40人で小さな不動産を共有していたものがありました。
以上の話は極端なものかもしれませんが、不動産コンサルティングの依頼の中で「共有関係の解消」についての相談を受けることは少なくありません。また、そもそも土地が共有となっている理由をヒアリングすると、その多くは相続の際に「共有」を選択したことによります。
ところで、土地を共有することを「共憂」と揶揄する人がいますが、現実には共有することそのものが問題であるわけではありません。たとえば、夫婦と子供が一人という家族関係で、土地所有者が逝去されたときにその人物の配偶者と子供の2人が相続により土地を共有していても、分割が問題になるようなケースはほとんどないはずです。
一方で、将来的に共有物分割が必要となるようなときに、「とりあえず共有」で相続をすることは、問題の先送りになる可能性が高くなります。
さて、相続人が複数いるときで、いずれ土地を分割しなければいけないことが想定される場合には、予め土地を分割相続すべきであることは理解したとして、それでは土地を機械的に分割すればよいのでしょうか。同じことは共有地の分割でも考えなければいけない問題でもあります。
結論から言えば、機械的に土地を分割すると「2÷2<1」となってしまう可能性があります。その理由は、特に都市部の土地については、「その土地上に建築可能な建物によって、評価が大きく変わる可能性がある」ためです。
筆者は、土地を有効に分割するためには、建築の知識と不動産実務のノウハウが必要であると考えています。本書では、これらについて基本的な内容を示したうえで、事例の紹介もさせていただきます。
不動産の活用の専門家はもとより、弁護士さん、或いは税理士さんなども、遺産分割や共有物分割の相談を受けることが多いと思いますが、このようなときも本書の内容は参考になると思います。
本書の内容を理解していただいたうえで、2÷2≧1となる土地分割が広がることを期待したいと思います。
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