「ありがとう」という品性 なぜ「ありえない」が感謝の言葉になるのか

「ありがとう」という品性 なぜ「ありえない」が感謝の言葉になるのか

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出版社
啓文社書房
著者名
尾崎克之
価格
1,980円(本体1,800円+税)
発行年月
2024年6月
判型
四六判
ISBN
9784899920908

日本人がいちばん好きな言葉が「ありがとう」であるとするアンケート結果があります。

「ありがとう」という言葉には、おそらく、日本列島の上で暮らす人々、日本文化の中で暮らす人々、つまり日本人が共通して持っている根源的なメンタリティないし世界観の有り様が映し出されているはずです。

 なぜ日本人は「ありがとう」が好きなのか、「ありがとう」にまつわる歴史を整理して、日本の独自性、つまり、日本と海外他文化圏との根源的なメンタリティないし世界観における違いを浮き彫りにしていこうというのが本書の目的です。



「ありがとう」の主人公は明らかに「世の中」です。「自分はこういう世の中に生きている」「世の中とはこういうものである」という考えが先に無ければ、貴重である、珍しい、といった判断はできません。



 そして、始終、そんなにたびたび「ありえない、ありえない」と言っているとするなら、相当にひどい「世の中」が想定されているはずだ、という仮定も成り立ちます。

ここには、「ありがとう」の背後にある、おそらくは日本人独特のものであろう世の中観、世界観はいったいどういうものなのか、という重要なテーマがあります。さらに言えば「ありがとう」は本当に感謝を伝える言葉なのか、それを検証していくのも本書のテーマのひとつです。



「ありがとう」を生んだ日本古来の世界観には、世の中に対する「あきらめ」があります。そしてそれは、限りなく「信頼」に近い「あきらめ」です。そういう世界観においては、『「私」があったところでしかたがない』と言うよりも、『はじめから「私」などはない、「私」という存在などは意識しない』という過激な軽みがあります。



 日本は明治維新以降、そこに折り合いをつけるべく、海外の世界観を調べ続けてきています。そこにおいては先人各位の、称賛すべき偉大な成功があり、尊敬すべき偉大な失敗がありますが、維新の年を仮に明治元年1868年とすると、2068年を迎えても明治維新からまだたったの200年です。

「ありがとう」の世界観は、おそらく、他の世界観を、計算して活用することのできる世界観なのです。

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