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音を失った。
でも、僕には線があった。
色があった。
作家生活30年超、円熟期を迎えた著者が画家・松本竣介と出会い、彼を通して創作の意義と向き合った意欲作。
画家、松本竣介。
30代で早世し寡作ではあったが、遺した作品は特別な存在感を放つ。
聴覚を失った少年期、兄の導きで上京、画家を志し、多くの仲間と出会った青春期。
そしてある女性との運命的な出会い。
竣介の生涯を追いながら、評伝ではなく小説として書くことで、物語は執筆者自身、ひいては全創作者の物語へと昇華する。
ものを作り、それで生きていくことの意味と正面から向き合った意欲作。
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