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"解きがたく結びついた性と人種
17・18世紀のフランスでは、女性はか弱く虚弱な身体を持つゆえに劣っているとされ、その不健康さは男女の不平等を正当化するものであった。この性的差異の概念化が、いかにして植民地における人種化の理論的な鋳型となり、支配を継続させる根本原理へと変貌をしたのか、その歴史を鋭く抉り出す。
「女性医療なくして人間〔=男性〕科学はない」というのが、私の仮説の一つとなる。言い換えれば、《人間〔Homme:男性〕》は、みずからを自分自身の知の対象とすべく、主に自らを脱中心化するという間接的な手段で、徐々に構築されていった。つまり、人間〔=男性〕が最初に対象にしたのは自分自身ではなく、まさに伝統的にサバルタン〔従属的地位にあるもの〕として見なされていた身体――女性の身体――を対象としたのである。
(「プロローグ」より)
原書:Elsa Dorlin, La Matrice de la race. Genealogie sexuelle et coloniale de la Nation fran?aise,
?dition la decouverte, 2009.
◎目次
Ⅰ 女性たちの病気
第1章 気質
性(セックス)の発明/性(セックス)平等の哲学
第2章 病気に性別はあるのか
鬱(うっ)血した者、窒息した者、取り憑かれた者
ヒステリー――プロテウスか、あるいはキメラか
第3章 突然変異の身体――娼婦、アフリカ人女性、女性同性愛者
先例――《悪魔の雌ラバ》/異常興奮者と女性同性愛者
第4章 異常興奮と罰
異常興奮からニンフォマニアへ/ヨーロッパ人女性を再女性化する
Ⅱ 国民(ナシオン)の生成
第5章 階級闘争という悪気
たくましい農村女性――過渡期の健康モデル
ニンフォマニアのメイドとヒステリーのブルジョワ女性
第6章 《母》の誕生
女性の健康概念の創出/出生主義派医師たちによるフェミニスト・レトリック
第7章 産科学知の歴史的認識論(エピステモロジー)
産婆(マトロヌ)と助産婦/女性の秘密vs産科学知
第8章 母乳、血、大地
怪物的造物主(デミウルゴス)――乳母たち/人口減少から退化
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